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カリフォルニアの田舎で仕事をしてみたら。
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オフィスの移転
ホーム・オフィスを
テイクアウト店の奥にあるスペースに移した。

店のほうに十分なスペースがあるにも関わらず、
今まで家の一部をオフィスにして
仕事をしていた。

時間的にフレキシブルで
仕事をしながら、
家事、洗濯が出来て、
子供たちと一緒にいられること。

ホーム・オフィスは働く主婦にとっては、
これ以上ない魅力的な仕事場だった。

思い返せば、おむつでパンパンだった私の大きなバッグの中身が、
(私は末娘のときには殆ど紙おむつを使わなかったので)
いつしか店に関することの書類にとってかわって、
その中には子供達の学校からのお知らせや、
お稽古事の道具なども混ざって
まさしく公私混同。

ホーム・オフィスのファイル・ケースの中では
銀行ステイトメントの後には、
子供達の成績表をしまうファイルが並んでいた。

それが先日、
思い立ってすべてを店に移した、

ら、

私の生活に身軽さが蘇ってきた。

店から離れて
家に帰っても、
視覚のうちにはいつも
机に積まれた仕事が目に入っていて、
私の日常には
仕事から100%離れる、
ということがなかったことに
オフィスを移した後で、初めて気づく。


丁度、
授乳をやめたとき、
身体がすっかり楽になって、

自分の本来の身軽さに
びっくりしたような・・・

そんなことを思い出した。


机や、ファイルケース、コピー・マシーン、
資料の積まれた本棚、シュレッダー・・・
そんなものがなくなって、
すっきりとしたダイニング・ルームの一角に、
赤いソファだけがポツンと残った。

そしていつしか大型テレビが陣取って、
いつも誰かがそこで寛いでいる。

家に帰っても、
これまでのように仕事をすることがなくなった今、
家事を済ませた後は、
なんとなく、
娘の部屋のベッドでごろごろしていたら、
仕事から帰ってきた夫が、
顔をほころばせる。

「ママは家にいても、
家事か仕事のどっちかだよね」
と子供が言うのを
大げさだなあと思っていたけど、

今思えば、こんなのんびりしたフィーリングの中で、
幼かった子供達と 
もっと過ごせれば良かったのに、と
ちょっぴり切ない。

店をオープンした頃まで住んでいた家を
先日、用事があって訪ねた。
洗濯物を干していた、懐かしい庭で遊ぶ娘。
でも、今は便利な町中の生活が気に入ってます。
# by S_Nalco | 2012-05-07 14:35 | 日記 | Trackback
色々な色
ある日、
私のお気に入りの
ダイニングスタッフが
嬉しそうに報告してきた。

「このあいだのディナータイムのときにね、
 とっても素晴らしいお褒めの言葉を
 お客様からもらったのよ」

「どんな?」

「あなたはまるで、ホワイト・バージョンのNalcoね、って!」

ホワイト・バージョン!

他国民族で構成しているアメリカでこその、こんな表現。
でも、「そんなこと言っていいの?」
って感じだけど、
イエロー・バージョンの私はこれを聞いて、
大笑いした。

お客さんで、
ラスト・ネームがホワイトさんと言う人がいて、
娘と町を歩いているときに、
その家族に会った。

「あら、ホワイト・ファミリーがお揃いで!」
と声を掛けると、
娘がぎょっとしたように私を見たけれど、
あとで、名前が「ホワイト」だと知るとほっとしていた。
(娘よ、私がそんな失礼なことを言うとでも?)

宗教と政治、野球の話はタブーと言われる。

先日もお店で仲良くなったお客さんの家へ呼ばれて
一緒に晩御飯をご馳走になったけれど、
ユダヤ人の彼らと、
話が多岐に及んでくると、
民族性、宗教、は相手をより深く理解するのに役立つから
そんな話にもなる。

そんな時、いつも思い出すのは、
相手を100%理解することなんて不可能だということ。
それをわかったうえで、
相手を果てしなく、
理解しようとする姿勢だけが、
常に希望なのだということ。

その姿勢があるから、
尊敬や、謙虚さが生まれる関係が出来るのだと思う。

たとえ同じ、イエローでも、
二つとして同じ色はないのだろうから。

(庭で咲いた色とりどりのチューリップ、
 店に飾って、スタッフや沢山のお客さんに喜んでもらいました)
# by S_Nalco | 2012-04-23 07:42 | 日記 | Trackback
集い。
店の建物を購入するときに、お世話になった
“Goen”グループの人たちを招いて、
恒例である年に一度のパーティを1月終わりに催した。

店を開いてまだ3年目だった私たちに
心よく建物の頭金を融資してくれた10組の人たち。

旅行や仕事などで都合がつかない人も何組かいたけれど、
今年で6回目になるこのパーティを無事終えるとほっとする。

毎年、パーティには色々に趣向を凝らすけれど
今年はシーズンでもあるから、
皆んなでカニを食べることにした。

「テーブルに新聞紙を敷いてカニをならべて、
みんなでひたすら食べるんだよ、楽しいよ。」

そう提案した人がいた。
でも、そんなパーティ、したことがない。
そもそもそんな簡単なパーティでいいの?

ディップするソースは日本ではお馴染みの、
ポン酢、
カニ味噌のソース、
アメリカンスタイルでは
レモンとホースラディッシュ(西洋わさび)、
レモン&タラゴンの4種類。

今回は友達の
カリフォルニア料理を専門にするシェフが差し入れしてくれた
前菜、
ラズベリー・ドレッシングで仕上げた
ほうれん草とアーモンド、ゴート・チーズのサラダ、
カニのスープ、

それからカニをメインにしたおスシ。

それらを平らげた後でいよいよカニがテーブルに並ぶ。

これが本当に楽しかった。

その日の朝に採ってきたばかりのカニを皆んなで手を使って
食べる、
食べる、
食べる。

カニにまつわる思い出なんかを話しながら、

なんとなく日本で皆んなで鍋をつつきあうような、
気楽さとか、
連帯感。

一月にはカニとワインのコラボ・メニューがあちこちであるけれど、
たいてい合わせてあるのは
Sparkling Wine
Sauvignon Blanc
Pinot Gris

うちでは カニにはPinot Gris が一番人気。

            (Pinot Gris)

さんざんにカニを味わい尽くしたあとは、
新しくメニューに入る予定の、
3種類のタルトをお試しサイズにスライスしたデザートと、
お土産に貰った地元のポートワインで〆。

(さすがに新聞紙ではなく、使い捨てのテーブルクロス。遠慮なく食べ散らかせます)。

ところでこのGeoenグループが発足してから間もなく、
一組のカップルがリタイアして、オレゴン州へ引っ越していた。
だからこれまでのパーティには来れなくて、
毎回手紙だけのやり取り。

彼らは以前、夫婦でレストランをやっていたので10組の中でも
率先して、私たちを「応援しましょう!」と言ってくれたカップル。

先週の土曜日、何年かぶりに店を訪ねて来てくれた。

普段は娘夫婦の近くに住み、孫の成長を見守り、
年に一度、数ヶ月、
今度は南カリフォルニアの、
末娘の家の近くにある
自分たちのアパートメントでそちらの孫と過ごすのだそう。

70歳のお祝いに、
この5月にはふたりでイギリスに行くのだと言う。

温かな笑顔はそのままでも、
ますますおおらかなふたりのオーラに

私の心はすっかりゆるんでしまった。

色んなことを話した。

彼らの孫のこと、
お互いの子供達のこと、
家族について、
仕事について、
夫婦について・・・。

今年のGoen Partyは、
彼らとの再会というおまけがあって、
嬉しかった。

家族と過ごせることの幸運、
普段は気づかない、
身近にある幸せの奇跡。

愛する人、
大好きな人たちと
囲むテーブル、
集い。

そんな機会の
ひとつひとつを
これからも大切にしていこうと思う、
温かな余韻が
いつまでも心に残る再会だった。



# by S_Nalco | 2012-03-13 04:04 | 集い | Trackback
質問のマジック
店では1時間半から2時間ほどの間を空けて、
次の予約を取ることになっている。
もちろんそれをオーバーされるお客様もあるので
次に空くテーブルを予測しながら、
予約をなんとかこなしていくのはけっこう大変な仕事でもある。

週末はたいてい予約で一杯で、
席のゆとりがないのが現状なので、
場合によっては、
食事を済ませ、
お勘定も終わり、
ただお喋りを楽しんでいるお客様には、
事情を話して、席を立ってもらうようお願いしなければならない。
(滅多にはないけど、これが一番嫌な仕事かもしれない)。

中には、気を利かせたお客さまのほうから、
「このテーブル、次の予約は何時になってるの?」
と聞いて下さる有り難い人もいる。

さて、先週の土曜日は、
パティオで15人のバースディ・パーティがあった。
十分な時間を空けて次の予約を取っていたけれど、
そのパーティ、予約の時間から50分を過ぎても全員が集まらない。
明らかにパーティは長引きそう。

テーブルを見に行くと、
中央にはお客様が自分たちで持って来た花束が飾られて、
誰もがにこやかで、和やかな雰囲気だった。
私の顔を見るなり、
挨拶をしてくれる常連のお客様も何人かあった。

予約シートをもう一度覗くと、キャンセルが二つ入っていた。
週末なのでキャンセル待ちも多い。
けれど、私はフロントを担当している若い男性に、
「今日はパーティの後に予約しているお客様を 
キャンセルの入ったテーブルに座ってもらいましょう。
そうして、パーティはゆっくり楽しんでもらうの」
と、提案した。

けれど、その若いスタッフの心のうちは、
次にも同じことがあったときの心配、
それから6時の予約がいつまでたっても始まらない、
マナー違反に対する正義感。
「次の予約が入ってることをちゃんと伝えたほうがいいのでは?」、と言う。

それはよくわかるし、正しいのかもしれないけれど、
所詮、店の都合でしかないな、と思うと私の気持ちは萎えてしまう。


それに、同じような状況でも、
月曜日など暇な日であれば、
次の予約がないせいで私たちも気を揉むことがない。
「暇だったから、今日のお客さんゆっくりしてても大丈夫だったわね~」
なんて会話がウエイトレスの間で交わされる。

席がなくて、どうしようもないときには、
仕方がなくても、
キャンセルが出たのであれば、
なんとかできる。

それに、15人が集まる誕生日パーティで、
何かあれば、
それは後々までに語り継がれることになる。
「あの時の、誕生日パーティ、
私達、お店のほうから急かせれちゃって」
なんて誕生日が来るたびに、当分の間 思い出すかもしれない。

沢山のお客様が
誕生日を祝うために、うちを利用してくださる。
一年に一度の、
その人だけの大切な日を、
私たちも本当に大切に思い、
素敵なバースディ・ディナーになるようにお手伝いしたい。

「何が大切か」、
何かを決めなければならないとき、
いつもそう問いかける癖をつけておくと、
安心できる。
ごちゃごちゃした雑音がなりを潜めてくれて、
ある一筋が光ってくる。

そうでなくても、
沢山の人が出入りする忙しい中で、
予測していなかったことが起きたとき、
とっさに、後悔しない選択ができるように、
この質問は
とても有効だと思う。
# by S_Nalco | 2012-03-05 16:03 | ホスピタリティ | Trackback
お土産
プランにはなかったことだけど、
理由あって、会社を株式会社にすることが決まった。

去年から準備していたけれど、
今ひとつ自分の中ですっきりしなかった。
何が、って
「株式会社のしくみ」、
という500ピースくらいのパズルが
半分くらいしか仕上がってなかったから。

「株式会社にする、っていうことはね、
経理上での考え方を これまでの商売の考えかたから
100%入れ代える、っていうことなの」

いつもお世話になっている会計士さんから
そう言われた。

考え方だけではない、
実際変えなければならない手続きも沢山ある。


仕事を頼んでいる弁護士さん
(日系の事務所に頼んだので、日本人)に
時間をとってもらって、
電話で私が用意した
株式会社に関する質問にも
ずらずらと応えてもらった。

それでパズルのピースが
ずい分埋まったけれど、
全体が見えるのはまだだった。

保険会社に行って、労災保険の新しい見積もりを取ってもらったり、
アルコール・ライセンスの移行について問い合わせたり、
一つずつ、地道なパズルのピースをはめていくも、

私の頭は「個人商店」の域を出ない。
うちの父も、義父も個人商店をやっていた。
「株式会社」とはこれまで縁はなかったのだ。

こんなイレギュラーな仕事は

一気に片付けてしまったほうがいいのはわかっていても、
年度末の税金のことがあったり、お役所仕事なこともあって
なかなか進まなかった。

それが先週の
会計士さんとの「最終打ち合わせ」で、
やっとパズルが全部はまった(と、私は思った)。

「あ、そうだったんだ、
これでわかったわ!」

パズルが仕上がってしまうと、
それはとてもキレイな絵を見せてくれて、
途上の混乱はすっかり過去のもの。

はしゃぐ私を見て、
会計士さんが言う。

「これからもわからないことがあれば
いつでも聞いてちょうだい。
同じことを何度でも聞いていいのよ。
そうやって、しっかりと知識を自分のものにして、
その知識を活用しながら、
あなたの会社が益々繁栄していくところを
私は見たいの」

何ていう慈悲深い言葉なんだろう!
私は思わず彼女にこう返した。

「なんてあなたは親切なの、
私なんてね、
仕事でスタッフが何度も同じことを聞いてくると、
何で、ちゃんとメモをとっておかないのかしら、
ってイラついてしまうのに。
あなたに比べたら、これまでの私って、
どこか意地悪だったかもしれないわ」

話がひと段落着いて、
お水を口に含んでいた彼女が、
突然の私の懺悔の言葉を聞いて、
吹き出すのを必死にこらえていた。

そして、ふたりで大笑い・・・!

でも、ほんとうにそう。
仕事では、私は何度も同じことを聞かれるのが嫌で、
(言い換えれば同じことを言うのが嫌)
伝えなければならないことは
ほとんど文書にして、リスト化しているくらいなのだ。

(そういう私は 私生活では
抜け落ちていることが多くて、
「これ、前にも言ったよ」と子供達に呆れられている)。

でも今回ばかりは
メモを取って、
家に帰って復習するも
二人でやったときには
わかったつもりのシュミレーションが
一人でやってみると、「?」だったりして、
何度も彼女に確認することがあっても、
彼女は本当にいつも親切だった。

ああ、私ももっと慈悲深くならなくては・・・
心から反省した。

株式会社への道がまっすぐに見通せたことが、
私の仕事にとって最も大事なことでも、

仕事がなければ、
出会えなかった人たちと、

仕事を通して、
相手の誠実な気持ちを受け取ること、

この、お土産こそが
夜眠る前に思い出しては

私を再び幸せにしてくれる。
# by S_Nalco | 2012-02-27 18:11 | コミュニティ | Trackback
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