予感 1


 宇宙は、生きていくに必要なものは与えてくれる。

 電気も水道も通ってない人里離れた山の中で 一年間暮らしてみてわかった。

 大好きな山の暮らしから離れたのは8歳だった長女が 「学校に行ってみたい、友達が欲しい」と願ったから。

 泉から引いた水、ソーラーパネルの太陽光、ろうそくとランプ。薪。
小さな畑の野菜、そのほかのもの、食べるものを買うだけのささやかな仕事は いつもタイミング良くやってきた。夫が山から下りて、大工をして稼いでくれた。

 物質的には最低限の暮らしでも、時間と空間は豊饒だった。
 頭上を孤を描いて沈む太陽、満天の星空、何処までも続く緑と木々。
 そして家族。

 薪ストーブと七輪での食事の支度や、手洗いの洗濯、風呂たき、子供の世話で日が暮れた。
 一家族だけ、隣人が丘を越えたところに住んでいた。
 あの頃のことを 今、成長した子供たちは、
 「ほんとにヒッピーな暮らしだった」と笑う。

 そんな山暮らしの日常の中、ある日、日本からお客が来た。
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by S_Nalco | 2010-08-29 16:06 | 予感
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