予感 3


 クリスマス近くにはこんなこともあった。

 山のたった一軒のおとなりさんはカップルで、二人そろってミュージシャン。ある集まりに 歌いに行くと言うので 夫もそれを手伝いにお供した。おもに彼らの二人の小さな子供の世話だったが、その小さなコンサートが終わると、歌に感動した老夫婦が ぜひクリスマスのプレゼントをさせて欲しいと申し出て来た。

 事実そうなのだけれど、ミュージシャンのカップルも、もちろん夫もお金を持っているようには見えなかっただろう(笑)。
老夫婦は彼らをショッピングセンターに連れて行き、親切にもそこで「何でも欲しいものを買ってくれ」と言った。

 思いがけないプレゼントにでも、夫は欲しいものを見つけられず、そういえばうちの便座が傷んでいたと思いだし、子供たちの大好きなガーフィールドの絵のついた便座を選んだ。老夫婦は笑い出し、子供たちにとキャンディやチョコレート、他にも色々と持たせてくれた。

 その話は、私のお気に入りのクリスマスプレゼントとなった。優しい笑顔に満ちたその老夫婦を思うだけで、心が温かくなった。そして、きっと彼らも 夫が持ち帰ったプレゼントに驚いている私たち家族を想像して、今もまだ笑顔でいてくれるだろうと思った。

 世の中には与える者と受け取る者がいて、その関係性の中、幸せは循環する。その中では誰もが幸せだ。もちろん与えるものは お金やモノとは限らない。
 いつか私も、与える側になれるだろうか、この老夫婦のように。
 
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by S_Nalco | 2010-06-02 16:03 | 予感
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