ラウンジの計画


2010年、春。

私たちはレストランとテイクアウト店の間にあったブティックに移転してもらい、そこをラウンジにする計画を立てた。
もともとレストランともとブティックのあった店舗は中で繋がっていたので、今回壁の一部を壊して 再び行き来できるようにするのは 構造上でも、手続き上でも簡単だということがわかった。

うなぎの寝床のような細長いレストランは、入口がすぐに混雑して、お客様に待って頂こうにも場所がない。それでラウンジがあれば、お酒でも飲みながらテーブルを待ってもらうことができる。
また、この近辺は葡萄の産地だけあって、カリフォルニアワインのテイスティングルームには事欠かないけれど、酒テイスティングをするのは日本人の私たちの役割かな、という気持ちがどこかにあった。

アルコールを主とした場所がひとつ増えるのは 果たしてこの小さな町の為になるのかどうか。
けれど、ここには夜、静かにお喋りしながらワインやお酒を楽しめる場所がない。若者が集うスポーツバーやダンスバー、カラオケはあっても。
大きな町に行くと、ゆったりしたカウチを置いた落ち着けるラウンジがある。アルコールに酔い大騒ぎするためでない、落ち着いたコミュニティの集える場所になり得るような店作りをしていきたいと思った。

これまで使っていたカーペットを取ると、黒とバーガンディのチェックの床が出てきた。
この柄に合わせて色を決めていく。はっきりとしたオレンジに茶色をアクセントにした壁、黒いマーブルがトップのカウンター席。
入口にソファを二つ置き、あとはコーヒーテーブルに椅子。店の奥に大きめのテーブルを置くのは、レストランに急なパーティが入ったときに使えるようにと、もとからのアイデア。
初めてレストランを開くときには、様々なこだわりと意気込みから、細かいところまで「これでなきゃ」というものがあって そのことでエネルギーを使ったけれど、今は大まかな色と配置、あとは効率的な予算の使い方に的を絞ることができるようになったのが楽。
何にこだわって、何を譲れるのか、何が優先か、そういうことが頭の中で自然に整理されてきている。

ブティックだったので、ショウケースや、棚、フィッティングルームなどが店内に取り残された。壊すのがもったいないので、どうする?、これを生かして店づくりする?、などと迷った。エコ精神が旺盛なのだ。けれど、思い切って、ぜんぶゼロにした。
レストラン、テイクアウト店同様、小さなスペースだけど、こじんまりしたあったかい雰囲気の店になりそう。すでに私のイメージの中では お客さまがくつろいでいる。
考えるだけで嬉しくて、がらんとした、作業中でまだ埃っぽい、未来のラウンジでしばし目を閉じる。

d0167973_1474065.jpg

[PR]
by S_Nalco | 2010-06-12 14:19 | ラウンジ
<< かりふぉるにあん・すし 予感 3 >>