レーニン


私たちの開店への、最初の幸運はある腕のいいシェフに出会えたことだった。
アメリカだけでなく、ヨーロッパでも店の立ち上げに関わった経験がある日本人で、店のメニューの大枠を作ってくれ、ソースやドレッシング、そしてカリフォルニアスタイルのオスシのデザインを抜群の美しいセンスで 店に定着させてくれた。彼のプロフェッショナルとしての挑戦、美的感覚、私たちが持っていなかった職人気質を担ってくれた。

「ローマは一日にして成りませんからね」

「システムをきちんと作って、nalcoさんは一日も早く店から離れることを考えてください」

「キッチンとダイニングは セッセッセ、のヨイヨイヨイ、の息でやり合っていくんですよ」

「レストランはいつも忙しくなくてはいけません」

「私たちのミスはすべてお客さんにまわってしまう、ということをまず考えて対処していきましょう」

仕事中は厳しいけれど、一日が終わるといつもの優しい彼に戻って 私を慰めてくれた。
彼の言葉は、彼の厳しい体験に裏打ちされていて、どんなときにも深く心に沁み入ったし、それらは彼の語録として、私の当時の日記に連なっている。
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by s_nalco | 2010-09-20 15:13 | スタートに関わったスタッフ
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