おもてなしの心

「お客様の喜びを自分の喜びとできる人。
同時に他人のさまざまな苦しみや痛みまでも、その人の立場になって、察知したり分かち合うことのできる人が 従業員にどれだけ多くいるかが大切なのです。
この誰もがもっている「ホスピタリティの心」を本人の気づきを通してどれだけ多く引き出し、行動に結びつけることができるかは 企業の能力開発のテーマです。」
(ホスピタリティの原点・サービス業のためのホスピタリティコーチング・清水均)

この一年、接客での苦情をあまり聞くことがなくなっただけでなく、テーブルに置いてあるお客様アンケートにはたいてい、「GREAT SERVICE」の文字がある。フードが遅かったり、様々な手違いがあっても、スタッフの対応次第でお客様が理解し、笑顔になってくださる。

常連さんが多いから、ウエイトレスもお客さまの好みを知ることができ、それをベースに会話することで、お客様のほうでますますこの店を自分の「ダイニング」と思ってくれているのもある。


「全員を完璧にもてなすなんて無理だよ」

店がどんどん忙しくなっていった初めの頃は不手際が多く、お客様からの苦情が多かった。話しあいをして改善策を考え、次に備えるけれど、最後にはこう言ってのけるスタッフの言葉が私は大嫌いだった。

パーフェクトはないかもしれない、でもそれを言い訳にする、声高に言ってのける、そういう態度を持つ人には 成長は難しい。

予約しないと入るのが難しい、という噂がますます店にお客様を呼ぶようになっていた。45席の小さな店なので、夫の期待通り、「あっという間に忙しそうに見えるお店」にはなったけれど、おもてなしが行き渡らないのなら、忙しさも本末転倒だと思った。

ディナータイムの場合、キッチンは皿洗いも含めて6人、ダイニングはバスパーソンを入れて4人。予約受付、テイクアウトオーダーなどの電話応対だけでも一人分の仕事になることもある。

「あなたが家に大勢のゲストを迎えたとします。誰もがあなたにとって、とても大切な人ばかり。それでもあなたは、全員をハッピーにさせることなんて出来ない、って言う?」

「お客様を束で考えないで。ひとりひとり、目の前にいる人を幸せにしてあげる気持ちで、あなたの大切な友達だと思って。」

ずっとそう言い続けてきた。

まだまだだけど、やっとここまできた、という気持ちもある。
うまく言えないけれど、店じたいのおもてなしレベルが全体的に上がって来ていると思う。個人の持つレベルだけではなくて、これまで働いてくれた人、すべての人たちの存在のお陰で押し上げてきた力のようなものが存在している。

さて、前述した本の中にも、「ハッピーな従業員がハッピーな顧客を創造する」とあるように、私自身の大きな仕事としては、従業員が楽しく、自分の働く場所に価値を見出せるような仕事環境を作ること。

 従業員専用のトイレには、手書きのポスターが沢山張ってある。
「一期一会」という、日本の代表的なホスピタリティの言葉の説明、自分がしてほしい、と思うことを相手にもする、という「ゴールデンルール」など、トイレまで追っかけて指導している。

私も含めて、みんなで仕事を通して楽しく成長していけるといい、と思う。なかでもお客様や、一緒に働く仲間のことを考え、共感し、それを上手に態度にあらわすことができること、これが出来れば、レストランだけでなく、どこへ行ってもあなたは大丈夫よ、と私はスタッフに言っている。
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エンジェルもトイレで見守っています。
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by S_Nalco | 2010-09-27 18:10 | ホスピタリティ
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