7年目のおわりに。

夏の初め、隣町のマーケットから声がかかった。

「お客さんからのリクエストが多いので、あなたのところのおスシを置きたいのですが」

そこはさながら小さなコンビニエンスストアーのよう。様々な品ぞろえ、洒落たお土産品も置いてある。アイスクリームと簡単なサンドイッチ売り場の横はいくつかのテーブルがあって、インターネットもできるようになっていた。まだ新しくて、清潔感があり、地元アーチストのアクセサリー、絵、手づくりの石鹸、そうしたものが個人的には好きだった。

隣町まで車で30分とはいえ、峠を越えなければならないので、私たちはめったに行くことはない。
けれどその町から来てくれるお客様は多くて、そこにお店を開いて欲しい、というラブコールはありがたいことに 良く聞く声だった。
けれど、私たちにまだそこまでの力はない。

若いオーナーは自分の店にもっとお客さんを呼びたい、よくしていきたい、とさわやかな情熱をもって、そして自分の店に誇りを感じている様子で、お店を案内してくれた。

6年前、私たちは彼女と同じ立場で、町の自然食品店を訪ねたことがある。
町のコミュニティの場であり、オーガニックとローカル、自然素材、というコンセプトのものだけが置いてあるこの店は年々多くのファンを増やしていた。この店で、おスシを売ることができれば、お客様にうちのレストランのクオリティに対する安心感が植え付けられるだろう、これほどの宣伝はないと思ったのだった。

運よく受け入れられたけれど、初めは少しの量からだった。
私はうちのおスシが売れたかどうか気になって、閉店前の自然食品店によく見に行っていたものだった。
そして売れ残りがあれば、自分でこっそり買って帰ったこともあった。
現在は毎日50パック近くのオスシを売ってもらっている。

さて、そんなことで 今、こうして立場が逆になって、相手のほうからうちの商品をと言ってもらえることのありがたさ、小さな地域ではあるけれど、その中ですっかり店の名前がブランディングされたことに、継続してきたことの実りを感じた。

実際のところ、おスシを違う店に卸すことは、あまりこちらには金銭的なプロフィットがあるわけではない。
それを自然食品店で始めたのは 先にも書いたように「宣伝」のためだった。(あの頃はまだテイクアウトの店も始めていなかった)

それでも今回、自分のビジネスを盛り上げていきたい、と目標に向かって行く人の小さな手助けになるのだったら、もちろんやらせてもらおうと決めた。
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自分のやってきたこと、やっていることが、誰かの役にたつことができる。それは本当に幸せなことだから。
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by S_Nalco | 2010-10-04 16:03 | 成長
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