日曜は休日

鍵をさしてドアを開くとモーツアルトの曲が、誰もいない日曜日の店内に鳴り響いている。
店に来るのは10日ぶりだ。

店の空気、店そのものが私を迎えてくれる。

「気持ちいい」
思わず声に出してつぶやく。

留守のあいだ、すべてのことがスムーズに運ばれていたことをこの空気で改めて知る。

夕べの忙しさも、人々のざわめきも、全部消し去られたあとの店内の在りようは、見事にすっきりしていた。

ウエイトレスとしてもう4年近く働いているレイチェルが、今日電話で私を起こしてくれた。すでに昼の1時半だった。日本から戻って今日で3日目。夕べもとうとう、明け方5時まで眠れなかった。

「昨日のディナーはすごく忙しかったのよ、大きな誕生日パーティが二つ入ってて。あの大雨で、予約のキャンセルが5つくらいあったのに、直接店に来る人もけっこういたから結局テーブルはずっと満席。リナがよくやってくれたわ!」

そう彼女が報告してくれる。リナはずっとウエイトレスをしていたけれど、最近フロントを担当するようになった。

「ランチはどう?今月に入ってからヒマだったよね?」
眠気を覚ますためにも、とりあえず思いついたことを自分でも喋ってみる。

「先週もヒマだったよ、夜はいいんだけどね。何でかな?」
「ん、何でかな?」

このへんは毎年10月が一番売り上げがいい。
新しいランチプランも実は着々と進めている。早く仕上げたい。

日曜日は定休日。このあたりは日、月曜と休む店が多い。他の町から来た人たちはそのことに驚く。ダウンタウンはゴーストタウンになってしまうから。
「どこに行けば、開いているお店があるの?」
そう尋ねられて気の毒に思う。

町内商店街ミーティングでも「日曜オープンを」という声はあるけれど、
「そういうことはショッピングセンター(チェーン店などが集まったセンターも小さいながらも、2、3箇所ある)にまかせとけばいい。自分たちの生活を犠牲にしてまで日曜日を開けたくないね。僕にも日曜日は必要だよ。」

というのがたいていの意見。

私は、日曜日は翌日のご飯のセットと、パティオの植物へ水やりのために たいてい1時間ほどは店に行く。そのあいだにもオープンを確認するためにお客様からの電話がけっこうかかってくる。スティーブの留守電メッセージがモーツアルトを妨げている。

今はまだ人手がないので、うちも日曜は無理。でも新しいスタッフを面接するときには日曜出勤も可能なことを確かめてから最近は雇う。子供が家を出て離れれば、私は日曜日も、クリスマス・イブも出るんだけどな。望んでくれるお客様がいるのだから、こんなに嬉しいことはない。

水やりしたあとのパティオはまた格別。水をたっぷり浴びた植物に囲まれると、私も心底リラックスする。明日から ますます皆んなが喜んでくれることをやろうと誓う。
[PR]
by S_nalco | 2010-10-25 14:41 | 休日
<< ビジネスホテルと大浴場 世界一わかりやすい4コマビジネ... >>