またどこかで。

立派な体格のD氏。いつも友人や奥さまと5,6人で週に1度は来られていた。
帰りにはグローブのようなごつい手を差し出され、また来週、と握手して下さった。

93歳のR氏は愛妻家で、ご自分だけは杖をついているのに、いつも奥さまの椅子を引き、彼女を座らせてあげてから自分が席についていた。
バレンタインディの日に、近所のスーパーで1ダースの真っ赤なバラを買って行くのを見たのが最後だった。

交通事故で突然逝ってしまった、まだ20代の青年のときには、その友人達が大勢で店にやって来た。
「彼が大好きだったレストランだから」
そう言って、白い花束と彼の写真を囲み夕食をしていた光景・・・。

お店を7年もやっているとお客様のほうで、なくなられる方もいらっしゃる。

訃報さえ聞かなければ、私は彼らがこの地球上から去った後でも、
彼らがここに存在しているものと思い込んで過ごせたのに、と思う。

私はただの店主で、彼らはお客さまで、接点はそれだけだった。

店の外で会うこともまれで、どこに住んでいるかも知らないのに。

また、いつか、来てくれると、時々思い出しては、待っていたかったと思う。
もう2度とうちの店に来ることがなくても、
どこかで楽しい食卓を誰かと囲んでいるのだろうと、
いつか会える日があるかもしれないと。
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by S_Nalco | 2010-11-09 17:41 | 日記
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