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Walking Angel

実は私は夜更かしが大好き。
末の娘が一年間、日本の中学に留学しているのを機に、今年は思い切り夜型人間で暮らす幸せを満喫している。
けれど夜型がたたっているのか、運動不足が原因なのか、このところ疲労感が抜けなかった。
肉体的にエネルギー補充が必要なときには私は時間を見つけてカフェに入る。

そこでMADE IN AMERICA ならではの巨大なマフィンとホットコーヒーを頼んでほんの少しの時間でも好きな雑誌を読みながらくつろぐことにしている。
普段はデザートには興味がない分、こういうときの甘いお菓子ってほんとに効く。

カフェに入る時間もなければお店にあるコーラをぐいぐい飲むけど、それではあまりにもすさんだ生活の象徴みたいになってしまうので(?)私はあえてカフェに入るわけだけど、この町にある2軒のカフェって実はあんまりサービスが良くない。
スターバックスはうちの店からは遠いのです)。

もう何年も前になる。

クリスマスの時期に、サンフランシスコに行った帰り道、私はある町のガソリンスタンドに併設されている小さなマーケットに寄った。
ガソリンを入れるためと、コーヒーを調達するためだったけれど、店内は人でいっぱいだったし、夜も更けていたからか、店員はいかにも面倒くさそうに応対していた。

私は列の後ろから、店員の機嫌の悪そうな表情を見てうんざりした。
私はとても疲労していたのでひょっとすると、その店員と同じような表情をしていたかもしれない。
店内は私のその時の気持ちと同じように、どんよりと重かったのを覚えている。

ちょうど私の前にいた、若い女性がレジで払う番になったとき、
彼女はびっくりするくらい気持ちのよい、明るい声で店員に声をかけた。

「HOW ARE YOU!?」

その素敵な声と笑顔に店員がまるで目覚めたかのように、はっとなったのを私は見た。
彼女は本当に親しみのこもった笑顔で店員に話しかけた。
そしてはじめはぎこちない笑顔で応えていた店員も、最後には自然な笑顔で丁寧に彼女にお釣りを渡した。

私は彼女がお釣りを受け取り、私の目の前を通りすぎて店を出ていくのを見守った。
店の空気は、すでに彼女の朗らかさに同調していた。

そして、私が中年の女店員の前に立ったときには、彼女はずっとそうしていたかのように柔らかい笑顔を私に向けてくれたのだった。

「相手の心ない対応に対して自分が同じように返せば、自分も相手と同じレベルにいるというにすぎない。
そのあなたの反応いかんで、あなたの住む世界は決まるのです。」
と書いてある本があった。
どんな状況であろうとも、自分がどんな態度に出るかどうかは自分次第なのである、ということを私は思い出した。

私は、自分も常に彼女のようでいたいと思った。
善意のあるところで笑顔でいるのは誰にでもできる。でもそうでないところでこそ、笑顔が大切なのだということを改めて思い、その小さな行為がどんなにこの世界を住みやすくするかを思った。

今でも私は彼女のことを、クリスマス前に、ちょっと地上に降りて来ていた天使だったと信じている。
彼女のお陰で、私はレジの前に立つと、自分から声を掛けるようになったし、何よりもいいのは、どんな対応にあっても、自分のキャパシティを試されてるんだとチャレンジ精神が旺盛になったこと(笑)。
by S_Nalco | 2010-11-21 19:17 | ホスピタリティ
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