アメリカの日本食レストラン

私はどこか他の町に行っても、日本食レストランに入ることが多い。

ひとえに日本食レストランと言っても、
こちらでは必ずしも日本人が経営しているわけではないし、
例えそうでも、こちらの人に合わせた店作りをしていて面白い。
アメリカンナイズされた日本食レストランが実は好き。
店のスタイル、コンセプト、メニュー、サービス。
自分で店を始めてから、外食が益々楽しい。
色んなことに気づくことができるようになったから。

それに、私はいまだにおスシが大好きで、飽きることがない。
お好み焼きも好きだけど、頻繁には食べられない。
おスシと言っても、私の場合、
カリフォルニアロールに代表される色とりどりで、ユニークな巻物。
うちには裏メニューもあわせると、
100種類近い巻物のバラエティがある。

さて、数年前にロサンジェルスのダウンタウンにある、
ホテルの中の日本食レストランに行った。
日本人観光客が多い、高級感のあるレストランだった。
お座敷や、スシバーもある店内は広い。
メニューも、一通りの代表的日本食は網羅している。
私はカウンター席に座った。

近くの船着場で直接魚を仕入れることのできる、
理想的な環境だけあって、魚はとても美味しかった。
日本人客が多いせいか、
うちのようなカリフォルニアンな巻物は殆どなくて、
おスシのメニューは日本に近かった。
こんなに魚が美味しければやっぱりこれで勝負、なのかな。

入ってきたときに応対してくれたフロントの人は中国人らしかったけれど、
板前さんは日本人だった。
彼からは お客さんの顔が見えない 
テーブル席からオーダーが入ってきたとき、
彼が 日本人のウエイトレスにそっと聞いた。
「何人?」
ウエイトレスが即答する。
「白人」
その会話に私は一瞬びっくりした。けれど、彼に聞いてみた。
「人種によって何か変わるの?」

「白人の方には、刺身の盛り合わせにサバや青いものは使わないんですよ」

ああ、なるほど。
日本人のお客様が多いからこその 
やりとりだったんだ。

うちは98パーセントのお客様が白人なので、
盛り合わせにはじめから青魚を入れていない。
だけど青魚より、もっと出ないのは「タマゴ」。
だからもう、メニューから外してしまった。

「もう、どのくらいおスシを握っているの?」
カウンター越しに話しかけてみた。

「10年くらいですよ。
この店はまだ1年目。
すぐ喧嘩して辞めちゃうから、続かなくって。」

「でも、このへんはリトル・トーキョーもあるし、
すぐ職も見つかるでしょう?」と私。

「だから喧嘩してはどんどん皆んな職場を代わってるんですよ。
このへん、気の短いの多いから。」
(そういえば、前回ここに来たときは、大人しそうな板さんだった、と思い出す。)

「それにしても、寿司屋とか、日本食レストラン、増えたよね。
スシはもう国際食だよね(この会話をしたのは4年前)。」

すると彼はちょっと吐き捨てるように言う。
「でも、ちゃんとやってるとこって少ないですよ、
日本人がいない店とかもあるし!」
あ、それってうちの店のことよ、と思う(笑)。
うちには夫を入れて二人、日本人がキッチンにいるけれど、
二人が常時店にいるわけではない。
インターネットのお客様レビューには、
「この店には日本人がいないようだ」と書いていた人がいたっけ。


翌年、再びそのホテルに泊まることがあって、そのレストランに行った。

喧嘩っ早い彼は自分で言っていただけあって(!?)
もう、働いてはいなくて、
スシバーには誰も立っていなかった。
それでもスシバーに席は用意してあって、
そこに座っておスシを頼むと
中国人の可愛い女の子がカウンターに立ち、
にわかに巻き始めてくれた。

メニューの中で、
ひとつ私の目をひいたものがあった。
20ドルもする海老天ぷらの巻物だった。
そんな値段の高い海老天入りの巻物を見たことがなかったので、それを頼んだ。

でも、ぜんぜん話にならないものだった。
すし飯でさえなかった。

もう、ここには来ることはないな、とそこを後にしてから数年たった。

今、これを書きながら、ホテルの中にあるあの店を、
何かの巡り合わせで、誰かが建て直したかどうか、
見に行きたいなあ、とうずうずしはじめた。
(ひょっとしたら高級チャイニーズレストランに様変わりして、繁盛しているかもしれない)。
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by s_nalco | 2010-12-04 17:23 | 気づき
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