メモリアル

今年の春まで店で働いていた人が亡くなって、
店のスタッフの多くは
心の中で行き場のない悲しみを抱えて仕事をしていた。

とくにウエイトレスは若い女性が多いので、
ときどきふと、悲しくなる子たちもいた。

お葬式もメモリアルもなかったので、
肩を抱き合ってゆっくり悲しむ場所がない。

実際、私こそが、このままクリスマスを迎えるのは
気持ちに区切りがつかなくて嫌だった。

それで日曜日に 
亡くなった彼女を偲んで集う、
メモリアルを店で催した。



いくつものキャンドル、

白とベビーピンクのバラとユリ、

生前の、彼女の眩しい笑顔が散りばめられた写真の数々、

色とりどりのバラの花びら、

ラベンダーのお香、

壁に掛かった、
ガーデンにひっそりと立つ、マリア像の写真、

クリスタル・ボウルが奏でる音色。



来てくれた人が、
気持ちを開放しやすい、
柔らかな空間ができあがったように思った。


メモリアルには
店のスタッフだけでなく、
店で彼女を知ったお客さん、
彼女のお母さん、
そして彼女のボーイフレンド、
友人たちも、
来てくれた。


彼女の写真の前でうずくまる女性、

椅子を寄せ合って話し込み、

あちこちで、ハグをし、

あちこちで、涙を拭く人々、

そして熱心に、
彼女へのメッセージを
カードに綴る姿、

静かに座って目を閉じている人。


私は、店のぜんたいを見回しながら、

ほっとする。

よかった。

安心して泣くことのできる場所があるのは、
なんて健全なことだろう、と思う。

言葉にせずとも、同じ思いを分かちあえる人がいるというのは、
なんて温かいんだろう。

これまでに店を貸切で、ウエディング・パーティや、
ベビー・シャワー
(赤ちゃんが生まれる前に、プレゼントを持ち寄ってするパーティ)
をやったことがある。

でもこの店は、こんなふうにも使えるんだと思った。

喜びだけでなく、
悲しみのシーンも、
抱擁してあげられる場所なんだっていうことを。

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誰かがお供えしてくれた、小さなドライフラワーのリース。
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by S_Nalco | 2010-12-13 14:13 | コミュニティ
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