ダイニングスタッフの一人が風邪をひいて
仕事に来られなくなった。 金曜日の夜は代わりを探すのがいつもより大変。 たいてい誰もが週末の予定を入れている。 けれど、そんな時にでもいつも何とかしてくれようと 融通を利かせてくれるのは、働いて4年目のSさん。 「私が入るよ」 セルフォーンにメッセージを残してくれる。 自分のことだけでなく、 店がスムーズにまわるようにいつも気を遣ってくれる、 この若い彼女にはそんな親心がある。 けれど、実際のところ彼女には、 他のスタッフ同様、その日は予定が入っていた。 この町では毎月第一金曜日は 「ART STROLL」というイベントがあって、 町のギャラリーが遅くまでオープンしている。 そしてこの日は多くのアートファンがギャラリーを練り歩き、 各ギャラリーに用意してあるワインとフィンガーフードをつまみながら 人々はご機嫌な気分で、 作品を見、 それらの作品を創作した地元アーティストと交流する。 Sさんは自分のコラージュの作品を ギャラリーに置いてもらって、 この金曜日が初めての「ART STROLL」だった。 しかも聞いてみると 彼女の作品を置いてもらえるのは今月だけという期限つき。 と、いうことは彼女が創作者として出品している間の 「ART STROLL」は 今のところ今回しかない、ということになる。 そんなアーティスト・デビューとも言える機会を逃してまで、 誰かの代わりに仕事に入ることが 彼女にとって大切なこととは、 私にはとうてい思えなかった。 もちろん彼女が店のことを いつも優先的に考えていてくれることは、 オーナーとしてこれほどありがたいことはない。 けれど、もし彼女が私の娘なら、 私はきっと彼女にARTのイベントに出るよう背中を押すだろう。 Sさんは全体的に自分への評価が低く、 自分のことを後回しにしがちなのには気がついていた。 周りのことを気にしすぎて、 自分を小さくしてしまう。必要以上に。 よくよく聞いてみるとやっぱり彼女は イベントにもちろん行きたがっていた。 けれど、いつかまたそんな機会が訪れるわ、 と自分を納得させようとしていた。 「自分にとって大切なことを そんなに簡単に手放してしまってはだめよ、 あなたがお店のことを思う気持ちは嬉しいけれど、 あなたが自分の大切なものを守るために、 「No」と言うことは決して後ろめたいことでも何でもないよ。 そしてあなたが「NO」と言えば 物事はあなたなしで収拾がつくように、流れていくものなの。」 宇宙は、 自分がそうと決めたら必ずそれぞれの 「大好き」 を守るために応援してくれるものだから。 ART STROLL は8時までだったけれど、 「7時半までには必ず帰って来てね」 とシンデレラの魔法使いのおばあさんのような気持ちで 私は彼女を送り出した。 金曜日の混雑したレストランに、 彼女は7時前には戻って来て、私に言う。 「作品がひとつ売れたの! 私があそこに行かなかったら、きっと売れていなかったわ。 買ってくれた人は私と話しているうちに 作品にもとっても興味を持ってくれたのよ!」 私は味噌汁ののったトレーを片手に、彼女と抱き合って喜んだ。 「自分にとって何が大切かがわかったら、 そのことにエネルギーを注ぎ続けて、 世話をしなければいけないよ」 その日、自分の作品が売れたことを、 彼女にはこれからもずっと忘れないでいて欲しい。 それは彼女が自分自身を最優先し、 自分を大切に扱ったことへ対しての 宇宙からの大きなメッセージだと思うから。 協力とバランス ここに二つの手がある。 片方の手は、手のひらを開き、 相手を受け入れようとしているが、 もう片方は握り拳をつくり、 抵抗している。 あなたが差し出すのは、どちらの手? 両方を均等に差し出しているだろうか? あなたは、一方的に与えすぎていないだろうか? 無理な手助けをして、 自分を苦しめていないだろうか? 自分と他人の責任を、 きちんと区別しているだろうか? バランスの取れた人生を、 もう見つけただろうか? 「魂の目的」ソウルナビゲーション ダン・ミルマン 著 東川恭子 訳 徳間書店
by S_Nalco
| 2011-02-07 15:34
| 本
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北カリフォルニアでのお気楽ヒッピー暮らしから、2003年、広島風お好み焼きとおスシをメインにした日本食レストランを開きました。3年後には店のお客様10組から支援を受けて、店の建物を購入、テイク・アウトの店をさらにオープン。町角の小さな「お好み焼き屋」をと思っていたのが、現在店はスタッフ30人のファミリーに。
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