素晴らしい人々

日本に戻る前に 
地震のニュースを聞いた常連のお客様、シルビアは、
日本にいる私の末娘のことを心配して、
電話してきてくれた。

だから、日本から娘を連れて戻ったときには、 
すぐに彼女に連絡したかったのだけれど、
連絡先が見つからなかった。

シルビアの
娘さんとは
私のフェイスブック・フレンドなので、
娘さんにメッセージを送ってみた。

すると驚いたことに、シルビアも最近フェイスブックを始めたという!
すぐに探索して、お友達リクエストを送ったけれど、
まさか彼女がオンラインのソーシャルネットワークを始めるとは、
びっくりした。
彼女は今年、94歳になるのだから。

彼女は毎日の水泳と、
レストランではいつも赤ワインを欠かさない。
ずい分前に 私が子育てのことで悩んでいたときに、
ふとシルビアに漏らしたことがあった。
「はじめっから子育てをやり直せたら、って思うのよ」
すると彼女が言った。
「もう一回やり直したとして、
今回やった間違いはしないかもしれないけれど、
今度は別の間違いを犯すものなのよ、
だからやり直すなんて考え、まったくいい考えじゃないわよ!」
私はそのアイデアに目からうろこで、
「それもそうね、」と二人で大笑いした。

私がシルビアからもらったような
「長老の言葉」を
店のスタッフもきっとそれぞれがもらっているに違いないと思う。
スタッフ全員が彼女の熱烈なファンなのだから。

思えば、
年を重ねるとは、その分、賢くなること、
そう思わせてくれる人々に多く出会ってきて、今の私がある。

20代の初めでアメリカに来て、
素敵で、パワフルな40代の女性達に出会い、
自分の生きる方向性が変わった。
以来、自分が40歳になるのを楽しみにして生きて来た。
私はすでに40を数年前に超えたけれど、
40歳になったときのちょっとした誇らしさ、
あの頃、私がお手本にした彼女たちに、
少しでも近ずけているだろうかと 襟を正す気分だった。

友人のお母さんはつい最近、
90歳の誕生日を元気に家族で祝って数日後に 
心臓発作で亡くなられた。
時々、オーケストラのコンサートに
友人と一緒に誘ってもらったことがあったけれど、
いつも ヒールの靴に 品の良いワンピース、
ピンクの口紅をつけて、
背筋の伸びた姿勢は私たちの誰よりも美しかった。

90歳間際であれほど美しく、エレガントな人には、
もう出会うことはないだろうと思っている。

今、私には60代、70代の素敵な友達がいる。
いつか私がその年代に辿り着くための水先案内人でもある。
彼女達の これまでの体験をおしゃべりの合間に聞けることだけでなく、
来た道とこれから行く道の微妙な境目で、
彼女たちがこれから体験すること、選択していくことは、
私にも興味深い。


私の敬愛する年上の女性たちの 一番素晴らしいと思うのは、
彼女たちは笑い飛ばすことを知っているから。
それでいて、深く、愛の対象と視野が広い。
もちろん素敵な年の重ね方をしている紳士方も
沢山知ってはいるけれど、
私をとりこにするのはいつも女性。

けれど、もうご存じの人も多いと思うけれど、
今回の地震で「被災おじいさん」と呼ばれている、
沢山の人を勇気づけた人がいる。

地震から3日後に救助された、この初老の男性は、
救助されたときには素晴らしい笑顔を見せて、

「大丈夫ですよ、チリ津波も経験しましたからね。
 大丈夫ですよ、再建しましょう」

と言った。

 世の中には、悲しみの状況にあっても、
こんなふうに人を照らすことのできる人もいるんだ、
というか、
この人はいつも、照らす側にいることを選択しながら、
これまで生きて来られた人ではないかと思った。


私も、この映像を見てから、
自分の中心にようやく戻ることができた。

本当にありがとうございます。
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by s_nalco | 2011-04-02 19:32 | 日記
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