ある日、お客様のコメントカードに、

‘料理にかかっていたソースが私には多すぎました、
それをウエイトレスに伝えたところ、
次から気をつけます、とのこと。
そのような対応は良くないのでは?’

とあったのを見つけた。

普通、お客様から料理に関するこのようなクレームがあると、
すぐに取り替えさせてもらう。
「次から気をつけます」
なんていうのは有り得ない。

担当したウエイトレスのKさんに 
そのコメントカードを見せると、彼女はがっかりしたように言う。

「だって、そのお客さんは殆どを食べていたの。」

私は彼女のしょんぼりした顔を見て思わず笑った。

誰だって、特にこんな仕事をしていたら、
相手に喜んでもらえるようにと思いながら仕事をしている。

それでも、仕事に慣れすぎると、
仕事のオートマチック化が起こり、
細部まで気が届かないことも多々出てくる。

しかも人はみんなそれぞれだから、
臨機応変な対応の仕方が求められる。

「そう、殆どを食べてたのね、
だからどう対応していいか、わからなかったんだ。」

私は彼女を慰めるように言った。

たいていのお客さんは 
焼き具合が気に入らなかったり、
味付けが濃かったりすると、
そのままお皿に残して、ウエイトレスにそのことを伝える。

すぐにウエイトレスは取り替えるけれど、
ごくたまにではあるけれど 
全部を食べたあとで、
「気に入らなかった」ことを伝える人もいる。

「そういう時ってどうすればいいの?
全部食べちゃってるのに、ほんとに気に入らなかったのかしら?」
そんな風にいぶかるスタッフもいる。


「どんな時にでも、
誰にでも通用する対応の仕方はね、

どうして差し上げたらよろしいでしょうか、

ってお客さんに答えを出してもらうように 
こちらが質問をすることよ。


そうすれば、お客様のほうでリクエストされるから。

躊躇して、何もリクエストされない人には、
代わりを持ってきましょうか、
デザートやお酒をつけましょうか、
とかこちらが出来ることを何でも、
アイデアを提供してあげてね。」

私はKさんにそう伝えた。

そうでなくても、この質問をするだけでも
たいてのお客様は満足される。

自分の要求が全面的に受け入れらたことを確認することによって。

真摯に自分の言い分に、
それがどんなものであろうと
耳を傾けてくれたということに
喜んでもらえることもある。


立ち止まって、耳を澄ますとき、人はいろんな声を聞く。
言葉のうらに隠された人々の声だけでなく、
木や花や、風、
鳥からの声。

私はずっと以前に山の中で暮らしていたころに、
どんなにかたくさんの
自然からの声を、聞いていたかを思い出す。

あのときのように、
私に向けられた、すべての声に対して、
丁寧にそれを感じて、返していけたらと願う。

それがどんなに忙しい、レストランのランチの時間にあっても。
d0167973_6393635.jpg

[PR]
by S_Nalco | 2011-09-06 06:51 | ホスピタリティ
<< 8周年 Sundays in the ... >>