お母さんの食事

バレンタインズ・デーは一年で一番忙しい。
それでも、お客様の持ってくる、
LOVELYで、SWEETなエネルギーで
店が満たされていく様子は本当に素敵、
私の一番お気に入りの日でもある。

若い人から年配の方まで、
この国は、いつまでたっても人を若々しくさせてくれる。
どんなに年をとっても、
テーブルの上、二人で手を握りあい、
それぞれの世界を楽しむことができるのだから。

ところで、レストランの予約は早くから一杯でも、
毎年スシバーの何席かだけは
どんなにリクエストがあっても予約のないままで空けている。
この日、
毎年一人でふらりと来られるお客様が数人、
必ずいらっしゃるから。

「こんな日だからこそ、ひとりで来られるお客様を大切にしたい」
というのが店のモットー、
そしてもう一つ、
子供連れのカップルにも私達は特別に気を使う。

私がそうだったけれど、
一人目の子供のときにはまだまだ自分が若く、
自分の楽しみを諦められずに、外食に出たりする。
そして途中で子供がぐずったりして
十分楽しめずに家路に着くことがよくあった。
子供が小さいうちは、
家でのんびり食事したほうがマシと
思えるようになったのは、二人目が生まれてからだった。

普段でも、私は子供連れのお客様には気を使う。
赤ちゃんが寝ていると、
「あ、今のうちにお母さんに食べてもらおう」、
とか、こちらで提供している塗り絵に
子供が集中しているのを横目で見ながら、
フードの出来上がり時間を計ったりしている。

先日などは席が空くのを待っていた常連の家族がやっと座ると、
キッチンスタッフが、
「早くしないと、あの子供たちは8時を過ぎると眠くなってぐずるんだよ!」
とウエイトレスにオーダーを早く取るようにと気をもんでいる。

こうして店全体が子供連れの家族を気に掛けている光景を私は自慢に思う。

お客様のほうでも私たちの対応を見て、
「ここは子供連れもいいのね、今度は私も子供を連れて来るわ」
と言われる。

決して安い価格設定の店ではないけれど、
子供たちの笑顔が店にある光景、
というのが私も夫も大好きで、
そこに私たちの店の原点もあると信じている。
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しかもうちに来るような子供たちは
たいていマナーもしっかりしていて、
大変な思いをすることなど、一年に一度?あるくらい。
それどころか
「今日のお刺身はとても美味しかったです」と、
お客様コメントに残していく7歳の常連さんもいるくらい(笑)。

さて、今年のバレンタインズ・デーでは
1歳になる前の赤ちゃん連れで来店されたものの、
赤ちゃんの歯が生える時期と重なって、
お母さんはお父さんと入れ替わりで赤ちゃんをあやしていた。

このカップルは恋人同士の頃から、たまに来てくれていた。
けれど今回は食事が運ばれてきたときには、
赤ちゃんはすっかりご機嫌ななめ。
仕方なく殆ど食べることもなく家に持ち帰り、という顛末に。

普段子育てで精一杯で、
自分のことはいつも後回しになってしまうお母さんが、
子供がご機嫌なうちに無事に食事を済ませることができるのを見るたびに、
私は心の中でガッツ・ポーズをしている。
だから、
「次は来る前に電話でオーダーを入れておくといいわよね、
そうしたら席に着いたらすぐに食べられるわ!」
帰り際に私はそのカップルにそう提案した。

もちろんレストランでは席に着いてから、
ドリンクからアペタイザー、メイン、デザートと
ゆっくりと食事や雰囲気、サービスも楽しむことが理想的ではあるけれど、
子連れのお母さんにとっては、
自分のお気に入りのレストランで、
座って食事ができるだけで日ごろの疲れもふっとぶというもの。

肌の瑞々しい、可愛らしい笑顔の若いお母さん、
今年、その日のことも、
またひとつのバレンタインズ・デーの思い出となって、
いつか、
「どうしてあんなに無理して、外食しようとしたのかしら」
と振り返る日が来るのかな、と自分のことと合わせて思う。

それでも、私はいつもそんなお母さん方の味方で有り続けたい。
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by S_Nalco | 2012-02-20 19:41 | ホスピタリティ
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