質問のマジック

店では1時間半から2時間ほどの間を空けて、
次の予約を取ることになっている。
もちろんそれをオーバーされるお客様もあるので
次に空くテーブルを予測しながら、
予約をなんとかこなしていくのはけっこう大変な仕事でもある。

週末はたいてい予約で一杯で、
席のゆとりがないのが現状なので、
場合によっては、
食事を済ませ、
お勘定も終わり、
ただお喋りを楽しんでいるお客様には、
事情を話して、席を立ってもらうようお願いしなければならない。
(滅多にはないけど、これが一番嫌な仕事かもしれない)。

中には、気を利かせたお客さまのほうから、
「このテーブル、次の予約は何時になってるの?」
と聞いて下さる有り難い人もいる。

さて、先週の土曜日は、
パティオで15人のバースディ・パーティがあった。
十分な時間を空けて次の予約を取っていたけれど、
そのパーティ、予約の時間から50分を過ぎても全員が集まらない。
明らかにパーティは長引きそう。

テーブルを見に行くと、
中央にはお客様が自分たちで持って来た花束が飾られて、
誰もがにこやかで、和やかな雰囲気だった。
私の顔を見るなり、
挨拶をしてくれる常連のお客様も何人かあった。

予約シートをもう一度覗くと、キャンセルが二つ入っていた。
週末なのでキャンセル待ちも多い。
けれど、私はフロントを担当している若い男性に、
「今日はパーティの後に予約しているお客様を 
キャンセルの入ったテーブルに座ってもらいましょう。
そうして、パーティはゆっくり楽しんでもらうの」
と、提案した。

けれど、その若いスタッフの心のうちは、
次にも同じことがあったときの心配、
それから6時の予約がいつまでたっても始まらない、
マナー違反に対する正義感。
「次の予約が入ってることをちゃんと伝えたほうがいいのでは?」、と言う。

それはよくわかるし、正しいのかもしれないけれど、
所詮、店の都合でしかないな、と思うと私の気持ちは萎えてしまう。


それに、同じような状況でも、
月曜日など暇な日であれば、
次の予約がないせいで私たちも気を揉むことがない。
「暇だったから、今日のお客さんゆっくりしてても大丈夫だったわね~」
なんて会話がウエイトレスの間で交わされる。

席がなくて、どうしようもないときには、
仕方がなくても、
キャンセルが出たのであれば、
なんとかできる。

それに、15人が集まる誕生日パーティで、
何かあれば、
それは後々までに語り継がれることになる。
「あの時の、誕生日パーティ、
私達、お店のほうから急かせれちゃって」
なんて誕生日が来るたびに、当分の間 思い出すかもしれない。

沢山のお客様が
誕生日を祝うために、うちを利用してくださる。
一年に一度の、
その人だけの大切な日を、
私たちも本当に大切に思い、
素敵なバースディ・ディナーになるようにお手伝いしたい。

「何が大切か」、
何かを決めなければならないとき、
いつもそう問いかける癖をつけておくと、
安心できる。
ごちゃごちゃした雑音がなりを潜めてくれて、
ある一筋が光ってくる。

そうでなくても、
沢山の人が出入りする忙しい中で、
予測していなかったことが起きたとき、
とっさに、後悔しない選択ができるように、
この質問は
とても有効だと思う。
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by S_Nalco | 2012-03-05 16:03 | ホスピタリティ
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