山火事

私の住む町の名前は
この地域にもともといたネイティブ・アメリカンの言葉で、
「山に囲まれた谷」
という意味らしい。

日本の、
瀬戸内海の緩やかな山並みにも似て、
見渡していると
自分の小さい頃を思い出す。

けれど、ここは夏の間は「決して」、
というくらい雨が降らないせいで、
毎年山火事があちこちで発生している。
もちろんこの近辺だけでなく、
山並みが続く、お隣のカウンティの火事の煙が
こちらまで届くということもあって、
夏にはつきものの、山火事。


先週も山から煙が上がっているのが見渡せた。
買い物の帰りに、
もくもくと続く煙と、
消火の為、行き交うヘリコプターの音を聞きながら、
自分の日常のすぐそばにある、
非日常を思った。
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こんな様々な非日常が、
世界中で起こっていることを思い出すと、
当たり前の普段の暮らしが
当たり前でなくなる。
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かなり前になるけれど、
家族で山の中で暮らしていた時に
山火事で避難のために山を降りなければならないことがあった。

私は当時住んでいた山と、
山の暮らしが大好きだったので、
山火事のあと、変わりきってしまった山の様子にずい分泣いた。

真っ黒な大地、
足が埋まってしまうくらいの灰の森、
倒れて煙を吐く木々。

それでも私たちが住んでいた山小屋は焼け残り、
やはり焼けてなかったソーラーパネルのお陰で、
山に戻ってきたその日の夜も、
明かりを灯して、
家族で食卓を囲むことができた。

非日常の山火事のあとの、
真っ黒な大地の中に
ぽつんとある、
山小屋の中の
それは小さな、小さな日常だったと、
今ならそう振り返られる。

どんなことが起こっても、
淡々と、暮らしていくことが
この自然界なのだと、
毎夜、見上げていた星空を鮮やかに思い出す。

その時の火事は、
山の尾根をどこまでも南下して、
1ヶ月以上も続いた。
だから、その年にこの辺りで収穫された葡萄で作ったワインは
心なし、煙の香りがする。

私は一口飲んで、好きではないと思った。
でも、歴史を語るそのワインを好む人は多くて、
今も誰かのワイン貯蔵庫に眠っているかもしれない。
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by S_Nalco | 2012-09-12 01:13 | 日記
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