自分の居場所

店にスタッフとして入って来る前からの知り合いで、
人柄がとても良く、他での仕事ぶりも良いことがわかっていたので、
店で働きたい、と言われたときにはすぐに返事をした。

ところがその彼、
仕事がなかなか覚えられない。
スピードがあがらない

辛抱強く人を育てていくことには、
なかなか定評があるうちでも、
なんだかなあ、という感じの雰囲気になってきたそんな頃。

ある日、
そんな彼と同じ年代の男性が入って来た。
入った日から全開、
早いし、器用。
いっしょに働いて楽しい人らしく、
すぐに店のスタッフともうちとけた。

ふたりのまな板を隣り合わせにして、
競わせたら、
彼は自分ののろさ加減に気づくんじゃないか、
そうしてみよう、

そう提案してきた別のスタッフがいた。

それはひどいな。
そんなことをすれば彼のような人は
ますます自信をなくしていくだけだ。



適材適所、
という言葉があるように、
こんなところに置いておく
私たちのほうに責任があるんじゃないかと思い始める。
彼にはきっと、違う居場所があるのかもしれない。


やっぱり何年も前に
仕事は丁寧でも、速度がそれ以上に伸びない、という人がいた。
でも、マイペースで、何でもこつこつとやっていく勤勉タイプ。

いつか、自分の本当に好きなことを
仕事にしていく人だと思っていたので、
聞いてみた。
「どんなことを将来やろうと思っているの?」

「まだ、わからない。
でも、人から ありがとう、って言われることをやりたい」。


そう言っていたことを思い出した。



誰かに、

「ありがとう」

と言われることで
人はこの世界の中に、
「自分の居場所」を見つけられるんだと
何かの本で読んだ。


人と競って自分を知るのではなくて、
自分なりにとことんやってみて、
自分を知ってほしい。

どこに行けば、
自分への
たくさんの「ありがとう」が見つけられるのか、

それには今、目の前にあることを
真剣にやっていくしかないのだから、

もうしばらく、
彼を見守っていようと思う。
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by S_Nalco | 2012-10-02 03:46 | 日記
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