カテゴリ:本( 17 )

3つの質問

店ではスタッフと定期的にミーティングをするけれど、
辞めていく人とのミーティングも また、大切にしている。
そういう立場にある人たちは、
もちろん人にもよるけれど、
率直で全体的な意見を
聞かせてくれることが多く、
店でのやり方を見直すいい機会にもなる。

最近では、
第2子を出産するために、妊娠2ヶ月まで働いてくれた
20代後半の女性、Cさん。
うちのごはんが大好きで、
辞めてからも
しょっちゅうテイクアウト店のほうへ
お昼を買いに来ては顔を見せてくれる。

彼女は3年半、ダイニングスタッフとしてうちにいた。
トレーニングの期間には普通よりも長くを費やしたけれど、
その後は週末の夜のゴールデン・シフトを
二日とも任せることのできるくらいになった。

ところで彼女の仲の良い友人が
彼女が入る前にうちで働いていたことがあった。
その人がCさんがうちで働き始めたときにアドバイスしたことがあったという。

「Nalcoのところで働くなら、
絶対に言い訳をしてはだめよ」


自己主張だか何だか知らないけれど、
こちらでは、言い訳をすることに何も抵抗がない人が多い。

自分のミスを正当化するために
時間を掛けて
言葉を繋げる。

たいていのことは
「ここはアメリカ」と、自分に言い聞かせてスルーするけれど、
「言い訳」だけは、
こちらの時間を使って、
聞く必要のないことを聞いているわけだから、
うんざりする。

そしてたいてい言い訳の最後は、
「いつもはちゃんとやってるのよ」
で締めくくられる。

どうして
「次からは気をつけます」

ってシンプルに言えないのかな?
そのほうが、人生はずっとうまくいくのに。

夫は私に輪をかけて、
言い訳を聞くのが嫌いだから、
いつもは温和でも
このときだけは、
「言い訳は聞きたくない」
とにべもない。

そんなだから、Cさんの友人が彼女にまず第一に
アドバイスしたのだった。

「初めはちょっと戸惑ったんだけど、
Nalcoたちのやり方を見ていて、
言い訳をしない、ということを意識するようになったら、
言い訳をしないことが、
相手へのリスペクトを表すことに繋がるんだ、って
理解できるようになったの。」

私が彼女から話しを聞きたいと思ったのは、
彼女が素直で、
相手の立場になって 物事を深く掘り下げて
考え、感じることのできる性質があるからで、
要するにとても思慮深い。


さて、私はその頃、
ジェームス・スキナーの
「成功の9ステップ」(幻冬舎文庫)
という本を読んでいて、
その中にあった、
効果的なフィードバックが得られるという
「続けること、やめること、始めること」への、
3つの質問を
使わせてもらった。

「この職場で現在行っていることで、
やり続けて欲しいことは何か」

「今、この職場でしていることで、
是非ともやめてほしいことは何か」

「この職場でしていないことで、
やり始めてほしいことは何か」

Cさんはこの質問に、
ほんの少しだけ考えたあとは、
すらすらと答えてくれた。

その答えが
私たちの店で「何」が大事か、
に焦点を当てた、
的を得たものだったから、
私は彼女の提示してくれた、
私たちへの課題を考えるよりも先に
彼女の、
うちで働いていた3年半が、
彼女の中できちんと整理され、
昇華されていることに
とても感心してしまった。

美しくて、
いつも上品なおしゃれをして
店に現れていたCさんは癒し系タイプ。
でも、こんなはっきりとした提言を
最後に彼女から引き出ことができたのは、
この3つの質問のお陰かな、と思っている。
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by S_Nalco | 2012-09-02 15:53 |

夢を叶える

「小さくても、ひとつ自分の目的を達成した後は、
休まず、すぐに次の目的を掲げてそれに進むべきです。
そうすることで加速度がついて、
成功に早く到達することができるでしょう」

これまで読んだ数冊の本に
そんな内容のことが書かれていた。

去年から、町に新しくできたダンス・スタジオの先生、
娘の通うヒップ・ホップ・ダンスの先生を
私はこの一年、ずっと観察していたけれど、
この人は、
まさしく加速度をつけていく人。

ロサンジェルスで20年、ダンス・スタジオを持ち、
誰もが知っているようなテレビのダンス・ショウ(MTV)で振り付けを担当していたと、
スタジオを紹介するチラシには書いてあった。

何故そんなきらびやかな経歴を持つ人がこの町に!?
という疑問はさておき、

6畳ほどの小さな場所から始まった、彼女のクラスは、
半年ほどで大通りに面した2階建てのスタジオになり、

その半年後には、
400人入るステージで、
4日間、2時間のショウをすることになったときには、

「大丈夫かしら、
ここは、ロサンジェルスじゃないのにねえ、
こんな田舎町では勝手が違うものよ」
などと囁く声も聞かれた。

この一年で、娘のダンスは見違えるほど上達したけれど、
私はずっと遠巻きに成り行きを観察していた。

けれど、
ショウが近くなり、
クリスマス時期というのにリハーサルが毎週あり、

毎日のように先生からショウの「お知らせ」メールが届き、

リハーサルがひと段落すると、
今度は6月のショウのお知らせがあり、

さらに、ダンスの大会に出るためのオーディションがあり、
そのための新しいクラスが
今日、始まった。

「あ~、今日、習ったダンス、すっごく楽しかった!
 明日も朝、10時半から2時までレッスンだからね!」

娘が顔を紅潮させてクラスから戻ってくるなり言う。

うそでしょう!?
実はショウの3回目を昼間終えたばかり。

今日は400人の小中学生達の前で、
2時間半にも及ぶショウを、
娘は15回くらい衣装を着替えながら、
他の20数名の子供達と舞台に立っていた。

そして明日は夕方の6時から、最後の舞台が待っている。
そんなさなかにでも先生は、次から次へと新しいことを提案し、
子供達のフレッシュな、やる気を引き出している。


ショウの第一日目、
私は荷物を楽屋に運ぶのを手伝いながら、
先生に声を掛けて、
彼女の働きぶりを褒めた。

「私は本当にラッキーなの、
大好きなことを仕事にしているからね、
どんなに働いてもちっとも大変じゃないのよ」

その言葉が
彼女の口から出ると、
とても説得力があった。

そしてああ、やっぱり、と思ったのだ。

彼女は周りがどんなことを言おうとも、
自分の目標とすることにフォーカスし、
一人でもやり抜く強さを見せ、
ここまできた。

そんな姿を見て、
こっちも
じゃ、手伝おうか、
という気もちにいつの間にかなっている。


「情熱」を持ち、
自分自身を「投資」し、
ビジョンを信じて「進む」。

そして、冒頭の本にあったように、
「進みつづける」。

夢は、どんなものであっても、
そんなふうにして叶えられるものだと、

シンプルなルールを思い出させてくれた。
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自分自身を「投資する」こと、
出し惜しみしないでね。
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by S_Nalco | 2012-02-04 17:05 |

記憶の収納場所

末娘は日本のアニメが大好きで、
インターネットで毎週アップされるのを心待ちにして見ては、
ご丁寧にその内容を私に報告してくれる。

けれど、その登場人物の名前を私が覚えないものだから、
いつも呆れられている。
けれど、
「どうして、私がそんなこと覚えてなきゃいけないの?」
私はそこでいつも開き直る。


それがお店のお客様の名前を忘れたりすると、
かなりがっくりしている。

どうも自分の頭の中に蓄えておける記憶の量は、
まるで部屋の押入れの中のように
限りがあるような気がしてならなかった。

だからいつも、空いたスペースを確保するごとく、
必要のないことは即削除、
アニメの登場人物の名前なんて、
スペースの無駄使いの他ならない、と(笑)。


レストランを始めて数年後から、
お客様の名前を覚えることがとても困難になった。

常連のお客様に、
人生の伴侶ができたり、
子供が生まれたり、
孫が増えたり、
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(お店に来る子供たちが書いてくれた絵がたくさん!)

ああ、そのたびに私は書き残して復習したり、
ポストイットに記して
レストラン内の秘密の場所に貼り付けたりするけれど、
とっさのときに名前が出てこないことが多くあった。

それは、記憶の許容量には限りがあって、
自分がこれ以上覚えられないのは、そのせいだ、
許容を超えてるんだ、
と、そう考えることで納得しようとしていた。

けれど、
「未来は、えらべる!」
(バシャール、本田健・著/VOICE・ 出版)の、
記憶についての説明の章で、

「人間の記憶は脳の中にはなく、
体の外にサーバー的場所が存在し、
そこにすべてあるのではないかと思っています」
という本田健さんの問いに、

バシャールが
「そのとおりです」
と答えているくだりを読んで、
そうだったのか、と思った。

それで、ずい分前に買って一度目を通しただけの、
記憶力世界チャンピオンが書いた
「記憶力を伸ばす技術」
(ドミニク・オブライエン・著/ 産調出版)を
眠る前に少しずつ読み始めた。

それには、記憶と老化の繋がりは根拠がないと書かれている。
記憶は主観的だし、
そして心理的なものがずいぶん影響していることも。


そういえばこんなことがあった。

地元出身のジャズシンガーがいる。
彼女のチャーミングな歌声が大好きで、
彼女が地元に戻って、
コンサートをするときにはたいてい聞きに行く。

去年のクリスマスのコンサートに、
亡き祖母が昔、愛用していた服を、
やっと膨大な遺品の中から見つけたのだと、
身に着けていた黒い、シンプルなワンピースは、
彼女にとても似合っていた。

それがつい2週間前に 
彼女が子犬を連れて店に来ていた。

「リリー、っていうの」
その黒い子犬を私に紹介してくれたとき、

去年のクリスマスの彼女の黒いワンピースが蘇って、
そして、彼女の姉と一緒に、
ミシガン州にあるという、彼女の祖母の邸宅で、
二人して、その服を探し回ったという、ストーリーをふいに思い出した。

きっとそのストーリーの中で、
彼女は祖母の名前を口にしていたのだろう、

こんな言葉が私の口から出てきた。

「あなたのおばあさんの名前をこの子犬につけてあげたのね」

彼女は瞳を見開いて、
「祖母の名前を、よく覚えていてくれたわね!」
と驚いた。

私だってびっくりだった。
彼女のおばあさんの名前なんて、その時まで、考えもしたことがなかった。

記憶、というより、
ジグソーパズルがはまった、という感じだった。
その子犬の「黒さ」、ゆえに。


さて、
記憶の書庫は頭の中に存在しない、
というアイデアが自分のものになって
記憶力の可能性を
信じられるようになったのは、
私にとって、
とても大きかった。

記憶術の本を再び読むようになったのも手伝って、
人の名前を覚える作業が楽しくなった、
とひとり、嬉しがっている。


娘を喜ばせるためにも、
アニメの話にものってみようかな。
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by S_Nalco | 2011-12-11 14:56 |

現代版、マスターの教え

「銀座まるかん」の社長、
斉藤一人さんが 若い弟子に伝授した教えの記録を読んだ。

「斉藤一人の道は開ける」
永松茂久・著
現代書林
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一人さんの愛の溢れる経営・人生哲学と、
それを自分のビジネスに当てはめながら考える著者とのやりとりで、
商売とは無縁でも、
ぜひ読んでみて欲しい一冊。

私自身は、この本を読みながら 
これまでの自分の8年間を省みて、
本当にその通りだった、と思うことや、
そうだったのか、と気張っていた肩の荷が下りる話、
そして読後、益々明るく 軽い気持ちになった。

「ひとつ、笑顔、
ふたつ、うなずき、
みっつめ、ハッピーな言葉、
この3つさえあれば大丈夫なんだよ。」

一人さんに会うために、九州から勢い勇んで上京し、
小難しい成功のテクニックや秘密を期待していた著者は、
はじめの一人さんとのレクチャーで、
この3つを聞き、がっかりしてしまう。
(日本一の実業家を目の前にして!笑)

素直に人の話を聞く、
「指導される力」、というところから始まった
一人さんの末っ子弟子の著者も
本書の後半あたりでは、
一人さんからの
「天はじっと見ているよ、これは本当だよ」
の言葉に、
「忘れません」
と即答する。



私にもメンターと呼ぶ人がいる。
彼女は自身の仕事を引退したあと、
乞われて日本でも有名な服飾メーカーのCEOを
数年した経験を持つ人だった。
(どうしてこんな人が私の住む小さな町に!?)

彼女から私が教わっていることも、特別なことではない。
小さなことをおろそかにせず、そこにフォーカスしていくこと。
当たり前のことをきっちりやっていくこと。

この考えは自分のビジネスに当てはまらない、
などと
せっかく教えてもらっても、
彼女のシンプルかつ堅実なアイデアに
それこそこの著者と同じで
「成功のテクニック」を聞きたいと期待していた私は思ったものだった。

けれど実際、彼女の言うポイントをしっかり抑えていくうちに、
自分たちに必要だったのはこれだったんだ、とわかった。


巻末の「道は開けるノート」は盛りだくさんで、とても親切。
「学ぶときはいったん自分の「我」を抜いて素直に聞く。
 これを「指導される力」という」
「結局のところ、男は女に育てられる」
「出会いは遠くでなくて今、目の前にある」
「誰かに喜んでもらったとき、人は自分の居場所を見つけることができる」
「楽しく機嫌よくしているとなぜか必ずいい方向へ向かっていく」


具体例満載のこの本を何度も読み返せば、
幸せな人生へのメンタリティをしっかり取り込むことができる。
もちろん、本人に「指導される力」があれば、の前提で。
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by S_Nalco | 2011-10-03 08:32 |

Dance First. Think Later.

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手のひらサイズで 
425ページあるこの本を友達が貸してくれた。
618の、様々な人の言葉の寄せ集め。

はじめのページには、
著者がテレビのインタビュー番組で 
後期のがん患者でもある有名な歌手が言っていた言葉から始まる。

 あなたは生と死から、何を学びましたか?

 「日々食べる、すべてのサンドイッチを味わうことだよ。」

 このシンプル、かつ深い言葉に
著者は打ちのめされたと書いてある。



さんざん色んなことをやらかしてくれた16歳の息子が、
どうしたことか、近頃ではどうも
「宇宙の法則」というものに目覚めたらしい。
「宇宙のゴールデン・ルール」から始まって、
「引き寄せの法則」「シークレット」などのアイデアに夢中になっている。

 私たちの本棚にも興味を示して、色んなことを聞いてくる。
不満ばかり言っていたのに、それが減って、
明らかに使う言葉が肯定的になってきた。

彼の変化を面白いな~と思って眺めている。

自分の得た、新しい知識に興奮し、
開いた扉から漏れる眩しさがもたらす、
ハイな気分が彼を支配して、
全てがうまくいくような気がしている。

大きな地図を手にした時には、
簡単にそこに辿り着けそうな気がしていたのに、
だんだんと、
この3次元に時間というものが存在することを思い知らされる。

プロセス。
タイミングや
シンクロニシティ、
この世界の醍醐味を味わう術をまだ知らない。

Living in the moment

この瞬間に生きる、
ということがどういうことなのか、
何でもいいからそのことについて話してみてよ。

ある日、突然部屋から出て来て彼が私に尋ねる。

でも、何を言っても気に入らない。
きっと、聞きたい「何か」があるのだろうけど、
残念ながら、私の口からは
すでに彼が本から得た知識しかなかったらしい。

一息入れたあとで、私は言う。
「おなか、空いてない?」
母として、最後にはこれしかないよなあ、
といつもの自分の切り札に苦笑する。

「おなかが空いてたら ろくなこと考えない」

それが私の持論だから、
ティーンエイジャーの彼にそう尋ねるのが私の常。
今の彼に、私が母としてできる最大のこと(笑)。

でも今日は意味合いがもっと深い。

この瞬間に生きたいと思うなら、
日々の食事を十分に味わうことから
はじめてみたらいい。


でも、そんなことを言ってみても
きっと今の彼には物足りないんだろうなあ。

一粒のお米を味わう、
究極の真理は
しばらくの間、私のブームにしておこう。
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by S_Nalco | 2011-03-05 11:43 |

協力とバランス

ダイニングスタッフの一人が風邪をひいて 
仕事に来られなくなった。

金曜日の夜は代わりを探すのがいつもより大変。
たいてい誰もが週末の予定を入れている。

けれど、そんな時にでもいつも何とかしてくれようと
融通を利かせてくれるのは、働いて4年目のSさん。

「私が入るよ」

セルフォーンにメッセージを残してくれる。

自分のことだけでなく、
店がスムーズにまわるようにいつも気を遣ってくれる、
この若い彼女にはそんな親心がある。

けれど、実際のところ彼女には、
他のスタッフ同様、その日は予定が入っていた。

この町では毎月第一金曜日は 
「ART STROLL」というイベントがあって、
町のギャラリーが遅くまでオープンしている。
そしてこの日は多くのアートファンがギャラリーを練り歩き、
各ギャラリーに用意してあるワインとフィンガーフードをつまみながら
人々はご機嫌な気分で、
作品を見、
それらの作品を創作した地元アーティストと交流する。

Sさんは自分のコラージュの作品を 
ギャラリーに置いてもらって、
この金曜日が初めての「ART STROLL」だった。

しかも聞いてみると
彼女の作品を置いてもらえるのは今月だけという期限つき。
と、いうことは彼女が創作者として出品している間の 
「ART STROLL」は
今のところ今回しかない、ということになる。


そんなアーティスト・デビューとも言える機会を逃してまで、
誰かの代わりに仕事に入ることが
彼女にとって大切なこととは、
私にはとうてい思えなかった。

もちろん彼女が店のことを
いつも優先的に考えていてくれることは、
オーナーとしてこれほどありがたいことはない。
けれど、もし彼女が私の娘なら、
私はきっと彼女にARTのイベントに出るよう背中を押すだろう。

Sさんは全体的に自分への評価が低く、
自分のことを後回しにしがちなのには気がついていた。
周りのことを気にしすぎて、
自分を小さくしてしまう。必要以上に。

よくよく聞いてみるとやっぱり彼女は
イベントにもちろん行きたがっていた。
けれど、いつかまたそんな機会が訪れるわ、
と自分を納得させようとしていた。

「自分にとって大切なことを 
そんなに簡単に手放してしまってはだめよ、
あなたがお店のことを思う気持ちは嬉しいけれど、
あなたが自分の大切なものを守るために、
「No」と言うことは決して後ろめたいことでも何でもないよ。
そしてあなたが「NO」と言えば
物事はあなたなしで収拾がつくように、流れていくものなの。」

宇宙は、
自分がそうと決めたら必ずそれぞれの
「大好き」
を守るために応援してくれるものだから。

ART STROLL は8時までだったけれど、
「7時半までには必ず帰って来てね」
とシンデレラの魔法使いのおばあさんのような気持ちで
私は彼女を送り出した。

金曜日の混雑したレストランに、
彼女は7時前には戻って来て、私に言う。

「作品がひとつ売れたの! 
私があそこに行かなかったら、きっと売れていなかったわ。
買ってくれた人は私と話しているうちに 
作品にもとっても興味を持ってくれたのよ!」

私は味噌汁ののったトレーを片手に、彼女と抱き合って喜んだ。

「自分にとって何が大切かがわかったら、
そのことにエネルギーを注ぎ続けて、
世話をしなければいけないよ」

 その日、自分の作品が売れたことを、
彼女にはこれからもずっと忘れないでいて欲しい。
それは彼女が自分自身を最優先し、
自分を大切に扱ったことへ対しての 
宇宙からの大きなメッセージだと思うから。 



協力とバランス

ここに二つの手がある。
片方の手は、手のひらを開き、
相手を受け入れようとしているが、
もう片方は握り拳をつくり、
抵抗している。
あなたが差し出すのは、どちらの手?
両方を均等に差し出しているだろうか?
あなたは、一方的に与えすぎていないだろうか?
無理な手助けをして、
自分を苦しめていないだろうか?
自分と他人の責任を、
きちんと区別しているだろうか?
バランスの取れた人生を、
もう見つけただろうか?

「魂の目的」ソウルナビゲーション
 ダン・ミルマン 著
 東川恭子 訳
 徳間書店
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by S_Nalco | 2011-02-07 15:34 |

お客の嫌がることをしない。

「お客の嫌がることをしない」
という変な目次を 本の中に見つけた。

いったいお客に、どんな嫌がらせをするというのだろう?

その本とは、
「ドラッカーの実践経営哲学」PHPビジネス新書 /望月 護 著

「とにかく2代目は先代とは変わったことをやりたがるが、
お客さんは変わったことを望んでいるわけではない」
そう、ある旅館の2代目に、旅行会社の人が言った。
アイデアマンの2代目は、
以来、新しいアイデアを思いついたときには、
すぐに実行せずに、
その言葉を肝に銘じている。
いかに卓抜したアイデアでも、
お客の嫌がることは意味がないからである。


読んでみて、納得がいった。
私にもそんな、
「お客の嫌がること」をやったことがあった、
と思い出した。

世の中に不景気の雰囲気が浸透し始めた2008年。

8月の終わりから、ランチの売上がずいぶん下がった。
例年、その時期にはないことだった。

ディナーにはお金は払っても、
ランチを節約することで調整を計るということなのだろうか。

それで、これからは、
お客様のニーズというのは、
「安くて美味しい」
ことに絞られていくのだと考えた。
それほど、ランチの売上が当時減ったのだ。

そして、そんな不景気風が吹いているのは、
見渡すと、どこの店も同じだった。

それで、私達は丼ぶりもので、
安くできるメニューをいくつも作った。

それらの殆どが、テイクアウト店の商品と連動していて
テイクアウトで買ったフードでも、
レストランにも持って来て食べられるようにした。
というのも、
私たちはそのメニューのスタートの日から、
レストランのランチを、
「セルフサービスの形態」
に 変えることに決めたのだった。

それに、テイクアウトの店は、
変わらずに繁盛していて席が足らなかった。
レストランはサービスを受けることによって、
15パーセントから18パーセントのTIPを任意で払うことが普通。
それもお客様には負担が大きいと思った。

美味しい、安い、早い、
それを軸に レストランのランチを変えていくことが、
お客様のニーズにも叶っていると考えたのが、
それから当分続くと予想された 不景気への対策だった。

店を開いてから5年目、
初めて売上が下がったという事実もあったけれど、
5年間順調に成長してきたというおごりもあったのだと、振り返る。

11月の、オバマ大統領を選出した選挙のあった日に、
レストランのセルフサービスと新メニューが始まった。

けれど、セルフサービスの体制はたった一日、
その日限りで幻となった。
というのも、常連のお客様が帰り際に、

「私は料理だけでなくて、このお店のサービスが好きなのよ」

と 言われたことだった。
そして何も言われなくとも、
たいていの常連さんが、そう思って帰られたのも伝わってきた。

けれど、何かが変わるときというのは、
たいていこういうものだ、とも言える。
確実に何パーセントのお客様の足は遠のくかもしれない。
けれど、そのスタイルを望む新しいお客様が現れる。
そして数カ月後には、
このセルフサービスがすっかり定着した店になっているかもしれなかった。

一日だけで辞めたのは、
このスタイルはうちの店のやることではない、
ということがすぐにわかったからだった。
テイクアウトの店ではそうでも、
レストランで、自分で飲み物や、食べ物を運んだりするお客様の姿を見るのは、 
私が嫌だと、その時に思った。

実際にこの変化の日を迎える前に、
スタッフから疑問の声もあった。
ロイヤルなお客様が多いのに、
この大きな変化が受け入れられるのかどうか、ということについて。

それでも耳を傾けなかったのは、
結局のところ新しいことを試してみたい、
という好奇心が大きかったのもある。

けれど、後日、松下幸之助さんの本の中で、
「衆知を集める」
ということを書かれていたのを読んで、おおいに反省した。

「誤りなく事を進めていくためには、
できるかぎり人の意見を聞かなくてはいけない。
一人の知恵というものは、所詮は衆知に及ばないのである。
~中略~
それに対して、人の意見に耳を傾けて、
衆知を求めつつやっていこうとする人は、
それだけあやまちをおかすことも少ないし、
そういう人に対しては皆もどんどん意見を言い、
また信頼も寄せるようになってくる」。

以来、私たちも 変化を起こすことには慎重になった。

お客様が何を求めて来て下さっているのか、
その衆知を集める、ということ、
そして
セルフサービスの選択は うちのレストランにはない、
とはっきりわかっただけでも、

大きな収穫の秋だった。
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by s_nalco | 2010-12-22 18:20 |

選択

店を始めてから半年ほど経ったときに、
中学生だった娘が私と夫に言ったことがある。

「レストランを始めた夫婦のうち、
半分は離婚するっていう統計があるってクラスの先生が言ったよ。」

私と夫は顔を見合わせた。

どうして娘の先生は そんなことを娘にわざわざ伝えたのだろう?
温厚で人当たりの良い、ひげもじゃの彼を思い浮かべた。

そのときに私たちが娘に何と言って安心させたのかは覚えてない。

けれど、レストランを始めていなくったって、
カリフォルニアの離婚率はすごい数字じゃないかと思った。

子供の学校の入学書類には 
たいてい両親の他に、継母と継父の名前を書く欄があるし、
子供が誰と住んでいるのか、
誰が子供を養育しているのかを記入する欄もある。

当時、小学生の息子のクラスの25人の生徒のうち、
両親が離婚していないのはうちを含めて4人だけ。

こういう環境で暮らしていると、
離婚というのは、ひとつの選択に過ぎない、と思える。

一生、一緒にいるのか、そうでないか。

選択肢は人それぞれだけど、
私は選択できる範囲が広ければ広いほど、
人は自分を豊かに感じることができると思う。

ともかく、夫婦がレストランをしているからって 
離婚の確率が増えても それはたいした理由にならない気がした。


「成功者の告白 ~ 
5年間の起業ノウハウが3時間で学べる物語」
講談社 神田昌典 著。

「サラリーマンの主人公が起業を経て、ビジネスと家庭のバランスをどのようにとっていくか、という話です。いままでビジネスはビジネス、家庭は家庭と分けて考えてきましたよね。でも、この2つはどうしようもなく密接に関連しています。その関連性が分からないために、多くの家庭が犠牲になってきましたが、この物語を読んでいただければ、きっと家庭もビジネスも成功する方程式が分かります。」
(神田昌典からのご案内)
http://www.kandamasanori.com/bookmaegaki/info001.html


店を始めて間もない頃に読んだきりで、
しかも本が何処かへ行ってしまって 
内容はうろ覚え。

それでも、実話をもとにしたビジネス小説は、
当時の私に具体的な例を伴った教訓としてずいぶん分かり易く、
この本に感謝したことは覚えている。

この本のお陰で、知らず知らずのうちに、
自分のリズムを守れるよう、
自分の仕事をコントロールするようにできたのかもしれない。

レストランをしていると、仕事にかかりきりで 
休みもないように思われがちだけれど、
逆に自分の店だからこそ、
自分達がいなくても店がまわるシステムを作り、
たまには夫と二人で出掛けたり、
家族や友人との時間を楽しんでいる。

今、自分が何をしたいのか、
それを選択することが出来るのが 
今の自分へのご褒美だと思っている。
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by S_Nalco | 2010-12-10 17:19 |

5つのお金の使い方

お金で幸せは買えない、と言うけれど、
「あなたを幸せにする5つのお金の使い方。」
そんな見出しの記事を Yahoo USAで見つけた。

1)体験にお金を払う。

野球やフットボールなどのゲームを見に行く、
家族でピクニックに出かける、
パリへ旅行へ行ってみる、(なぜパリ、なのだろう?)
など。

統計によると66パーセントの人は、
買い物をした後に後悔するらしい。
モノは有限でも、体験した思い出は失われません。

2)誰か他の人のためにお金を使う。

コーヒーや、アイスクリームなど、
小さなものでいい、誰かにご馳走してあげる。
どこかに寄付をする。

毎日5ドル、誰かのために使うことは、あなたを幸せにします。

3)給料から自動引き落としで貯金をする。

自動引き落とし、がポイント。
経済的安心は心の平安を呼びます。

4)自分に投資する。

習い事、
自分のビジネスを始めたり、
学校に戻ったりする。
自分への投資は、
あなたのライフを向上させます。

5)小さな贅沢

ヨガなどのエクササイズは身体の健康を保ち、
美容にもよく、
気分もすっきりします。




この5つのお金の使い方は、
確かに人に充足感をもたらすはず。

ただ、5番目のヨガが
「贅沢、もしくは道楽」という、
カテゴリーに入っていたのが以外だった。

こちらでは、週に何日か、ヨガや水泳、ジムなどに通う人は多い。
それは「贅沢」ではなく、
健康のために「するべきこと」と
とらえられていると 私は感じていたから。

店の常連さんで何年か前に、市議になった人がいた。

彼女におめでとう、と言うと、

「どんなに忙しくなっても、
毎日のエクササイズ(水泳)と
家族で過ごす時間だけは確保しようって、自分に誓ったのよ。」
と 話してくれた。



息子が小学生だったころ、
学校主催のお祭りで
息子が友達にお菓子を買ってもらって帰ってきた。

その友達のお母さんに、お礼を言うと、

「うちの息子も、誰かにご馳走してあげる、
っていう楽しみを味わうことが大切だから」

という風に言っていて、いいな、と思った。

私自身の優先順位としては、家族と旅行に行ったり、
一緒に楽しいことをして過ごすこと。


また、お金を貯めることに関しては、
漠然と預金するよりも「明確な目標」があったほうが、
貯まりやすいとは専門家のアドバイス。

何のために必要なのか、
いつ必要なのか、
いくら必要なのか、

そうすることで、人生設計もうまくいく、と。

誰にとっても、大切なお金。
いつもいい気分で使えるようでいたい。
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by S_Nalco | 2010-12-06 19:08 |

素直な心になるために

素直な心になるために
PHP研究所 松下幸之助・著

この本のページをめくると初めにまず、松下幸之助さんの朗らかな笑顔の写真が目に入る。
メガネをかけた著者の、大きな耳。
ああ、耳とはまさに、「聞く」ためにあるものなのだ、とその横に大きく広がった耳を目にして思う。

「素直な心」というものについて、一冊の本を費やしている。
素直な心の内容十カ条、
素直な心の効用十カ条、
素直な心のない場合の弊害十カ条、
素直な心を養うための実践十カ条、
から成り立っていて、誰もが持っている、
「素直な心」に気づき、育てていくことに対する著者の情熱が静かに伝わってくる。

「素直な心の内容十カ条」のひとつに
「耳をかたむける」というのがある。

「素直な心というものは、誰に対しても、何事に対しても、謙虚に耳を傾ける心である。」

以前、20歳を過ぎた若い男性がキッチンで働きはじめたことがあった。
彼はまったくレストランでの経験がなかったので、皿洗いから始めたけれど、それが一向にスピードが上がらない。
1ヶ月過ぎても向上しないので、もう一度トレーニングしようと彼に話した。
けれど彼は驚いたことに、トレーニングは必要ないと言う。
自分は自分のやり方で間違いない、と言って、自分の仕事が遅いことへのあらゆる言い訳を始めたのだった。

私はまったく驚いた。
こんな人は始めてだったけれど、私は若いこの男性をとても気の毒に思った。
もしも、万事がこの調子では、彼は自分から学ぶ機会を逃していることになる。
彼はこの先どうなるのだろう?
彼のこの態度が、彼のこの仕事に対する興味のなさから来ているのだとしたら、彼はさっさと辞めて、自分が学びたい、と思える場所に行くことを私は勧める。

自分のことを振り返ってみれば、学校を卒業してすぐに入った銀行での銀行員としての仕事が好きになれなかった。
当時の私が先輩や上司の話に耳を傾けていたかどうか、大いに疑問だし、そんな私の存在は周りの人にも迷惑をかけていたと思う。
そのままそこで働き続けていれば、自分が壊れてしまうと気づき、2年後に辞めた。

その後、私は地元のタウン情報誌の編集をすることになり、大好きな活字の仕事に就くことができた。
学びたい、という貪欲な気持ちが人の話に耳を傾けさせることになった。
私の生活は変わった。

レストランを始めてから、6年後の日記に私はその頃の反省を書いている。
「自分が謝れなくなっている」と。
自分のミスをスタッフの前でなかったことのように振舞ったことが、2日続いて、私は自分がどんなに傲慢になっているかに気づいた。

「素直な心がない場合いの弊害十カ条」
には、素直な心がない場合には、自分の考えにとらわれ、視野もせまくなって、往々にして独善の姿に陥りかねない、とある。

こんなふうにこの本を、自分の行動を省みるときに使うと、時々ドキッとすることが書いてあってわかりやすい(笑)。

「素直な心を養うための実践十カ条」では、強くそれを願う、自己観照、のほか、素直な心であることを、忘れないための工夫、というのがあって、「素直な心になるためのお守り」というものを工夫して作ってみることなどを薦めている。

「これは自分が素直な心で人に接し、物事に対処していけるようにというお守りだ。
これをさわればきっと自分は素直な心で対処できるだろう。
また素直な心で対処しなければならないのだ」
というように、心の中で確認してみるわけです。
そうすることによって、やはり素直な心というものを忘れずに日々を過ごしていくことができやすくなっていくのではないのでしょうか。
(「素直な心を養うための実践十カ条」より)

著者がここまで親切に書いてくれていることに、私は感動する。

また、素直な心というのは、奥が深い。

素直な心とは私心なくくもりのない心というか、ひとつのことにとらわれずに、物事をあるがままに見ようとする心といえるでしょう。
そういう心からは、物事の真相をつかむ力も生まれてくるのではないかと思うのです。
だから素直な心というものは真理をつかむ働きのある心だと思います。
物事の真実を見極めてそれに適応していく心だと思うのです。 
(「お互いが素直な心になれば」より)

ベッドサイドにいつも置いておきたい本の一冊です。
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by S_Nalco | 2010-11-26 17:55 |