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食のカルチャーショック


アメリカでのパブリックな日本食デビューは17年前。

娘の通う園で、食事の担当になったとき。
子供たちの食べやすいヌードルを、と思った。
腕をふるって鰹節のだしを利かせたうどん。
なのに・・・
「FISHY….」(魚くさい)
殆ど全員が(先生も含めて!)食べることができず、大量の売れ残りをトイレへ流すはめに・・・。

喜んでお代わりしていたのは、わが子と母親が日本人のもうひとりの子供だけ。
それ以来、コアな日本食を外国人に出すのは トラウマになってしまった。

そんなことも、私がレストランを出すことに反対した理由の 小さなひとつだったかも。
自分が美味しいと思ったものが、人には受け入れてもらえない、という可能性が異国では多々、起こり得ることなのだ。

それは好きとか、嫌いの枠を超えた体験。

アメリカに来たころ、メキシカンフードには付き物のリフライド・ビーンと、独特のソースの存在に遭遇した。一口で拒否反応が出て、レストランを後にした。
出された食事をそのまま残したのは自分にとって初めての経験だった。

いかにも繁盛しているらしいレストランで 夫と注文した2、3の皿、どれも口に出来なかった。
「何で!?」
という表情のウエイターに 相手のせいではなく、私が食べられないだけなのだ、ということを説明する術もなく(その頃、英語は殆ど話せなかった)、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

こうしてはじめて私は世の中に 他人は美味しく食べているもので、劇的なまでに、自分がどうしても口に出来ないものがあるという体験をした。

そしてその数年後、私は鰹だしのうどんを幼稚園児にふるまって、彼らに食の、カルチャーショックを与えてしまうことになるのだ。
by S_Nalco | 2010-08-29 16:08 | メニューの周辺
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